何もない空間だった。

瞳が捉えるものは何もない。

突如、その空間に光が生まれ、鋭い閃光となってに向かってきた。

思わずはその光を避けた。

「ひ」

口から細い悲鳴が漏れた。

瞼を開けたの目に映ったのは、見覚えのない天井と頭のすぐ横、枕に刺さった剣だった。

「ク、ククク…いやあ卿は実に強運だな。結構結構」

剣の先を握っている男が笑いながらを覗き込んだ。

は嫌な汗が全身から噴出すのを感じた。

「ぁ、なた、は?」

身動きがとれず顔だけ向けてこれだけを搾り出すだけで精一杯だった。

「おや、知っていると思っていたが。私を殺しに来たのではないのかね」

が思い切り顔を顰めたのを見て男はまた愉快そうに笑った。

「クク、そうか。私は松永久秀というのだが、卿は何と言う名かね?」

松永久秀

は頭と体が急速に覚醒していくのを感じた。

目の前の男が自分が知っている松永久秀とイコールで繋がったのだ。

(戦国BASARA…(正式には戦国BASARA2英雄外伝)

「わ、私、は。と言います」

そして大きく息を吸い込み静かにゆっくり吐き出し、体を起こした。

「卿は私の城の隅に倒れていたのだが、覚えているかね」

首をゆっくり左右に振り否定の意を示す。

「いいえ」

松永は目を細めてを見やった。

「卿の倒れていたところの傍にこんなものが落ちていたのだが」

松永が見せたのはのお気に入りの鞄だった。

「ぁ、鞄」

「見覚えがある、ということは卿の物か」

「はい」

松永はしなやかな手つきで鞄の中身を取り出す。

「どれも見たことがないものばかりだ。卿はこれらをどこで手に入れたのかね」

「ぇっと、」

(どどどどどう説明したらいいんだろ…!ここはどこ!?とかテンパってみたりしたらいいんだろうか。いや、なんてうーーーん)

「ふむ。答えたくないか」

「い、いえ!そういうわけではなくて。それらを見たことがないということが不思議というか信じられなくて」

鞄の中身は携帯やメモ帳、ボールペンや眼鏡あらゆる生活必需品だ。

知らなくて当然だが、それを踏まえた答えを言ったら色々不味い気がする。

「ほう…卿がいたところではこれらが普通に存在していた、ということかね」

物珍しげにボールペンをカチカチやりながら松永は言った。

「は、はい。寧ろこちらはそうではないのですか」

が尋ねると暫く松永は黙ってしまった。

(え、ええええええええ私地雷踏んだっ!?地雷どこにあった!?)

「私は珍しいもの、美しいものが好きでね。卿にもし行く当がなければここに留まるといい」

「へっぁ、で、ではお言葉に甘えさせていただきます。色々とご迷惑をお掛けするとは思いますが何卒よろしくお願い致します」

「この部屋は卿が好きに使ってくれてかまわない。後で世話係を寄越そう」

「は、はい」

すっと松永は立ち上がり部屋を出て行った。

誰もいなくなった部屋では一人呟いた。

「マジでか」