左から、馬、籠、杖がの前に置かれた。
「ぇっと…これは、どういう」
皆武装をし、綺麗な隊列を組んでいる。
松永軍は今まさに出立しようとしていた。
「卿はどれで行きたいかね?馬か、籠か、それとも徒歩か」
「ぇーっと。馬、は、一人では乗れないので無理です。籠は揺れるし、なんとなく嫌です。徒歩は、体力がないので無理です」
ふむ、との答えを聞いて考える松永。
そんな松永を見てふと、は気がついた。
「そういえば、私、どうやって人取橋まで運ばれたんですか?」
「ああ。それはな」
三好兄が言った。
「馬に括りつけて運んだんだ、お前に香を嗅がせ寝かした後でな」
あまりのことには唖然となった。
「…じ、人権侵害…薬物乱用…ご、ごめんゼッ●イ君」
※薬物乱用、ダメ、絶対!
ブツブツと呟くに三好弟が突っ込む。
「一晩で移動できるわけがないだろう」
「全くだ」
「…も、いいや。いいです、はい」
が諦めの溜息を吐くと松永が馬上からぽんぽんと自分の前を叩き言った。
「では、私の馬に乗っていくかね」
「結構です」
はそれには即答した。
「クク…」
この前の短距離ならいざ知らず今度は長距離になること必須。
松永はつまらなそうに笑ったがにとっては死活問題だ。
「俺の馬に乗っていくか、」
三好弟が馬を見せて言った。
「俺の馬でもいいぞ」
「じゃ俺のでも」
兄ももう一人の弟も続けて言った。
「………」
そしてどこからともなく風魔が現れ、手を上げた。
「…忍もか」
兄が面倒そうに呟いた。
「どうでもいいが、早くしてくれ。卿らを置いて行くのも面倒だ」
面倒そうな事態に松永は早くも投げやりだ。
「誰がいいか、」
くるりと弟がを向いて言った。
「ぇ、と。誰でもいい…くはないですけど、安全に運んでくれるならいいですよ」
誰でもいいと言いかけた際、松永の視線が気になり、訂正をした。
「では、三すくみ拳で決めたらいいか」
兄が言い、皆一様に頷いた。
(三すくみ拳って何だろう…)
は、興味深く覗き込んだ。
三好兄が親指、弟が親指、もう一人が人差し指で風魔も親指を出した。
「俺、だな」
「そのようだ」
「仕方ない」
「決まったかね」
「………」
松永の問いに風魔が頷いて消え、三人衆はそれぞれ馬に乗り、先の勝負で勝ったと思しき弟がと一緒に乗った。
「では、行くとするか」
松永の一声で一見大名行列のような武装集団が足並み揃えて動き出した。
「気をつけろよ」
「落ちるなよ」
「気をつけるし、落ちないように頑張るよ」
兄ともう一人の弟に言われ、は少し緊張の面持ちで答えた。
しゃんしゃんと鈴の音、甲冑のカチャカチャという音、馬のぱかぱかいう足音、そして人の歩く足音。
静かな街道に響き渡らせながら進んでいった。
→