※ネタバレ要注意





パチパチ…パンッ

は、戦場の中を歩く。

内心戦々恐々として、それでも足取りはしっかりと、手は御守を握り締めて。

角を曲がった時、生き残っていた兵士がに襲い掛かってきた。

「死ねぇっ」

「っ」

咄嗟に身体を引くが、刃が目前に迫る。

兵士の目に光はない、戦に狂わされたのだ。

「Ha!」

がぎゅっと瞼を瞑り、痛みを覚悟した時、兵士の身体が横に吹っ飛んだ。

恐る恐る瞼を押し開けると、そこには、一本の刀を持った伊達政宗がいた。

「Hey!アンタ、こんなとこで何してんだ?危ないだろうが」

「…伊達、政宗公…」

「Ahn?そういやアンタ、人取橋で…生きてたのか」

「…それはお互い様だと思いますよ。ご無事で何よりです」

平常心、生きている人、知っている人に会っては取り戻した。

「HAHA、アンタ、オレが敵だってこと忘れてんじゃねぇか?」

の口ぶりに一瞬驚いた風に、けれど次の瞬間可笑しそうに伊達は言った。

「敵、そっか、私久秀様と一緒にいるから、アレ?私って松永軍の一員?一員でいいんですかね、政宗公?」

前半は自身に呟き、後半は伊達に問いかける。

「いや、知らねぇが。Hum…まぁ悪いことは言わねぇ、帰んな」

ぽんとの頭に手を乗せ、伊達は言う。

間をおいて、は、少し俯いて首を横に振る。

「私は、行かないといけないんです。何もできなくても、途中で倒れても、久秀様の傍に」

残りは心の中で言う。

(そして、久秀様をお止めしたいんです)

顔を上げ、伊達の独眼を真っ直ぐに見据える。

「Hahn…O.K.アンタか、オレ達か、どちらが松永の野郎を止められるか。勝負だな」

ニヤリと尊大に伊達はに言う。

は、目を瞬き、伊達を見る。

(どうして、心で言ったこと、わかったんだろう…)

「そういや、アンタ、名前は?オレの名は知っているだろ?伊達政宗だ」

ふ、と思い出したように伊達はに問う。

「ぁ、そういえば、自己紹介してませんでした。です」

、ね。こっから先はちょいと危ねぇからこっちの裏手から回りな」

「ぇ、どっち?」

「あっちだ」

「ああ、あっちですか。すみません」

伊達が指差して、やっとは理解した。

そんなの様子に思わず笑みが零れた伊達は懐を漁り、短刀を取り出すとに投げ渡した。

っうわっ…なんですか?」

「やるよ」

「へ…?い、いやいやいやいやいや、いりませんよっ」

は返そうと短刀を伊達の方に押しやるが、伊達は受け取らない。

「どうせ何も持ってねぇんだろ?持ってけよ、守り刀つって護身具の一つだ」

「で、でも、そんなこんな、高そうな…」

「(そこか…)Never mind!気にすんな。それに、Handicapを埋めるぐらいに思っとけ」

パチパチと何回も瞬きをして、は照れたような笑みを浮かべ短刀をしっかりと帯に差した。

「Good!それじゃ、Good Luck!幸運を祈ってるぜ」

「ぇ、あ、はい。政宗公も、御武運?を」

「HAHAHA」

伊達は笑いながら片手を上げてとは別の方向へ走って行った。

「元気だな…」

その様子にはぽつりと呟いて、歩き出した。

ずらり、と一直線に並んだ鉄砲兵が一斉に片倉に向けて銃を撃つ。

「っく」

一瞬、死を覚悟した片倉だが、その時、鋭い一閃によって銃弾が跳ね返される。

「ていやぁぁぁぁ!」

伊達が駆けつけたのだ。

「威勢よく出て行ったわりには随分と手こずってるじゃねぇか」

「政宗様ッ!」

ふ、と笑って片倉に背を向ける。

「オレは後ろを振り返らねぇ、お前がこの背中を守れ」

「…はっ」

そして、双竜は、危機を脱し、松永の待つ奥へと進んでいく。