※ネタバレ要注意





「Psyche up!小十郎、ついて来い!」

威勢よく伊達が片倉に言う。

「お任せあれ!この小十郎、全てを賭けて!」

片倉は喜びが身体中を巡るのを感じつつ、応える。

「ハハハハ!美しくもめでたい茶番だ」

それを聞いていたのか、松永は心の中に生まれる黒い塊を吐き出すように笑う。

ぞくっ

は松永の冷たい笑い声に背筋が冷えるのを感じた。

ある、広い場所に出た、落ちた橋の横の広場、その姿を捉えた瞬間、は駆け出していた。

「っ三人衆!」

倒れている兄の頭を抱え起こし、抱きしめ叫ぶ。

「助けてください、誰か、助けてください!!」

「…っ、?…っく」

「兄、大丈夫?」

「ぁ、ああ、弟、は」

「ちょっと待って」

はそっと兄を横たえると、弟達のほうに向かった。

二人とも面が割れ、顔に痣が見える。

「っふっ、だい、大丈夫?」

涙が溢れて、泣きながら二人を覗き込む。

「っ」

「はっ」

二人とも意識はないようだが、呼吸はしていた。

ぽたぽたと顔に落ちる涙をそっと拭って、旗を破って持ってきてかけてやる。

「兄、生きてるよ、けど、意識が…」

見たところ、出血はあまり酷くはないようだ。

「そ、うか。、お前なんでこんなところに…」

掠れた声、話すのだって辛そうだ。

「…私、私ね、嫌だった。私だけ安全なところにいて、何も知らないふりして、ただ流れに任せて、こうやって皆が傷ついているのを知っていて、それでも何もしないでいることが」

兄の虚ろな視線をは受け止めて言い切る。

「だから、今度は、私が助けたいんだって思ったの」

、それでも、行ってはだ、め…だ」

後半はもうほとんどには届かず、兄は、意識を手放した。

「兄?」

がそっと顔を近づけると、呼吸はしていた。

立ち上がり、木の板に「生きてます、治療お願いします」とそこらへんに転がっている炭で書き記した。

そして、また、は奥へと歩き出した。

戦はいよいよ最終決戦を迎えようとしていた。

「おい小十郎、覚悟できてるか?」

「無論…聞かれるまでもありませぬ」

その答えに頼もしいとばかりに伊達は口端を上げた。

「松永…ここがテメェと俺の終着点だ、片倉小十郎、推して参るッ!」

そして二人は突撃した。

(ぁれ?)

キラリ

は、道の真ん中に光るものを見つけた。

駆け寄り、確かめると、それは向こうでのの身分を証明する証明証だった。

手に取り、翳す。

確かにそれはの物だった。

証明写真には無表情のが写っている。

きゅっと唇を引き締める。

何故だかとてもこれが、をここから引き離そうとしているような、そんな気がした。

篝火がの目に入る。

それは力強く燃えてこの戦場を飾り立てているようだ。

近づけば熱気を感じ、遠くからでもその光に導かれる。

ぎゅっと知らず知らずのうちに証明証を握り締めていた。

一旦、は両目を力いっぱい瞑った。

そして開けた目には決意が宿っていた。

「私は…」

は、証明証をもう一度握り締めた。



現実に帰る…?(END2)