前田の屋敷に向かうと三人衆と前田家。

「なあ、なんで旅なんかしてんだ?」

前田慶次が、こそっとに聞く。

「えーっと、知り合い?を訪ねて、です」

「そいつがのいい人ってことかい?」

(なんでもかんでもそっちに繋げるんだな、この人)

「違います。ただ、とてもお世話になったので直接お礼を言いに行くんです」

大柄な前田を見上げ、は真摯に答える。

「お礼、ねぇ…」

ふぅん、と前田が考え込んでいるとと前田の間に三好弟が割って入る。

「おい、前田の風来坊。に近づくな」

「そうだそうだ」

後ろからもう一人の弟も声を上げる。

「ちぇ、いいじゃねぇかよ。ちょっとくらい」

前田が唇を尖らせて弟達に抗議するが、あまり可愛くない。

(可愛くない、全然可愛くないよ、前田慶次)

こそり、とは思うが口には出さない。

「ダメですよ、慶次。さあさ、狭いところですが、どうぞお上がりくださいな」

「「「「お邪魔しまーす」」」」

まつに広い広間に通される。

「旅の途中で腹が減ってるだろ?まつ、飯ーー!

「はい、暫しお待ちくださいませ!」

前田利家が、達に断定的に問いかけ、答えを待たずにまつに叫ぶ。

達は、発言する機会がなかったため、無言で与えられた席に着く。

「さて、三好殿、殿、先ほどはうちの慶次が迷惑をかけた。誠、申し訳ない」

前田利家が、達に向き、深く頭を下げる。

「侘びと言っては何だが、ゆっくりと旅の疲れをここで癒していってくれ」

そのためのことなら何でも某かまつに言ってくれればいい

キリリとした面持ちで言う前田利家に、は不思議な気分になる。

(ちゃんと一国の主、なんだなぁ)

が感心していると前田慶次が、利家の肩を引っつかんで言う。

「利ぃ、そんな堅っ苦しいことなんかどうでもいいからさー」

「いいわけありませぬ!」

ガン

「イッデ」

まつが持ってきた料理を置いたお盆で前田慶次の頭を叩く。

「慶次、貴方は後で説教です!さ、皆様、できたての料理、どうぞお食べください」

達の目の前に色鮮やかなとても美味しそうな料理の数々が並べられていた。

「まつの飯はうまい、是非沢山食べていってくれ!」

「まつねえちゃんの飯は天下一!」

にこにこと前田の二人に言われ、ようやく兄が手をつける。

「…うまい」

「ほー、俺も」

兄が食べたことで弟達も手を出す。

も見習って手をつけようと、座っているまつに言う。

「いただきます」

「たんと召し上がってくださいな」

にこりと微笑むまつにご飯を貰った。

「よし、某も食べるぞ!」

「俺も、いただきま〜す!」

前田利家、慶次の二人も食べだした。

暫くすると、

ああっ、前田慶次!それは俺の魚だっ」

え?わりぃわりぃ」

「前田殿、凄い勢いで減ってるぞ…」

「三好殿ももっと食べればいい!」

「それで久秀様がですねー」

「まあ、そうなのですか」

「兄、酒注いでくれ」

「なんで俺!?」

「うふふ、それで犬千代様ったら…」

えー!そんなの有りなんですか?」

「あー!それ俺のたくわん!」

「あ?悪いな、風来坊」

と、すっかり打ち解け、この宴会は夜遅くまで続いた。