加賀の前田の家を旅立ち、と三人衆は徳川の領地に入った。

「ん、あれ?ここって徳川様の領地なの?」

は、疑問を三人衆にぶつけた。

「ああ、そうだぞ」

「ちなみにここから向かって北が前田領、西が浅井領で」

「東が武田領、南に今川と織田の領地があるな」

三人は其々丁寧に方角に指を差してに教える。

「そうなんだ…」

(BASARAだからか…)

歴史で習った、と思われる勢力図とは違う勢力図が描かれているようだ。

ゲームをプレイしていて、ちょっと違和感を感じることもある部分だけれど、実際そこで生活していると結構重要なことだと思う。

「そういえば徳川といえば…」

アレだな」

「ああ、アレ、だ」

が、考え込んでいると、三人衆がなんだか楽しそうに呟いている声が聞こえた。

「アレ?」

「んむ」

「戦国最強の」

「本多忠勝!」

が問うと、キラキラした目で三人衆は答えた。

「へ、へぇ好きなんだ…」

メカっていうかああいうのは、好きな人にはたまらないものらしい。

そして三人衆はああいうのが好きらしい。

「空飛んでいないだろうか…」

「一目見てみたいものだな」

「シュピーン…キュルキュルー」

兄と弟は空を見上げ、もう一人の弟は意味不明の音を発する。

(シュピーンキュルキュル…)

気持ちわからなくもないが、公衆の面前でそれは…。

くすくすという笑い声が辺りから聞こえる。

「恥ずかし…」

は、思わず呟いて視線を下に下げた。

兄と弟も同じように、弟を見て言う。

「恥ずかしい奴…」

「全くだ」

それを聞いては少し視線を上げるが、次の瞬間それを後悔した。

「シュピーンキュルキュルーじゃなくてキュピーンシュルシュルシュルーだ」

「いやいやジーシュギューンだぞ」

「いやいやいやテュイーンシュピューンだって」

真面目に談義しだす三人衆には、今すぐ駆け出してしまいたい気分にさせられた。

(勘弁してくれ…)

好奇の視線が更に強くなったように感じる。

そしてこの本多忠勝起動音談義は、宿に着くまで繰り広げられた。

「だから、キュピーンギューンだろう」

「違うって、ジージュギャーンだって」

「あーもうお前等ホントわかってないな、ジーシュピーンだろう」

「ほら、もう宿に着くから…」

宿屋が見えたと声をかければ三人とも驚いた。

「もう、か」

「早かったな」

「ああ、時間が矢のように過ぎていった」

(ああ、そう…私は永遠かのように思いましたが)

好奇の視線に晒されてここまで来るのがどれほど苦痛だったか彼らにはわかるまい。

しかし、これだけで談義が終わることはなく。

「だっから、キューンジューンだろ」

「ちっがうって、ジューギューンだ」

「そうじゃないって、シューンキュピーンだろう」

夜更けまでその談義は続けられた。

(い、いい加減、寝かせてぇぇぇぇぇぇ)