は、寝返りを打とうとして身動きが取れないことに気がつき意識が浮上した。
目を瞑ったまま、聞き耳を立てるとがさがさという音や鳥の鳴き声、人の足音が聞こえる。
そして、自分が二点で支えられていることに気がついた。
(もしやこれは…)
「おい、起きたんじゃねぇか?」
「なに、起きたとしても何もできんさ」
「それもそうだな、がははは」
柄の悪い声が二つ聞こえ、はさーっと血の気が引いていくのがわかった。
(やばいって、これはちょっとやばいって!兄は?弟達は?…ああもう、とりあえず寝たふり!)
どうやら、男達は森の中を歩いているようだ。
それはそうだろう、人目のつくような街道ではあまりにも不審すぎる。
それに、道が道として整備されていないためでこぼこ道を歩く振動がに伝わるのだ。
は運ばれながら寝起きの頭をフル回転させる。
(誰か助け…いやないな、恐らくアレかアレさせられるはずだからまず命は大丈夫なはずだ。大人しくしている限り。そうなると暫く様子見るしかない、はず…ああ、神様仏様イエス様毘沙門天様どうか助けてください、あ、軍神様でもいいです)
すると、男達は急に止まった。
(アジトに着いたのかな…)
はなるべく体を動かさないように布団の先に隙間を開けて外を覗き見た。
最初は明るいだけで何も見えなかったが、慣れると木の表面が見えた。
どうやら大木の陰にいるようだ。
それからよくよく耳を澄ますと、さっき聞こえた声以外の声も聞こえた。
「アニキに山の幸を食わせてやろうぜ!」
「ああ!…だが、お前山の幸が何かわかるのか?」
「山の幸と言えばあれよぅ松茸だろ」
「そんじゃアニキに松茸を沢山採って行ってやろうぜ!」
「うぉぉぉアニキー!」
「アニキー!ってアニキいねぇけどな」
ハハハハハハ
(ちょ、まさか、長曾我部親衛隊の方ですかーーー!?ちょほんとこっち気づいて、お願い!)
最早何故ここに長曾我部軍がいるのだろうとかそういう根本的な疑問をすっ飛ばしてはただ彼等がに気づいてくれることを祈る。
だが、彼等は気がつかない。
笑い声が遠ざかっていく。
考える時間はなかった。
はまず、大声を出した。
「助けてーーーーー!!」
そして体を大きくバタつかせて男達の手から逃れると勢い良く布団から飛び出した。
「チッ、このっ」
「やっちまえ!」
男達がを捕まえるどころか手に刃物を持って向かって来た。
「っ」
は両手で顔を覆って衝撃に備えて固く目を瞑った。
「うわっ」
「ぅぐっ」
恐る恐る瞼を押し上げて手の隙間から覗くと、長曾我部親衛隊の方々が二人の男を取り押さえていた。
「女を殺そうとするだなんて下衆がっ」
「アニキのところに連れて行ってやるっ」
「おい、大丈夫か」
二人のお兄さんが男二人を取り押さえ、もう一人のお兄さんがに手を差し伸べてくれた。
「あ、ありがとうございます」
差し伸ばされた手を取って立ち上がる。
は全身が微かに震えていた。
それがわかったお兄さんは、手をぎゅっと握って放してくれた。
「もう大丈夫だからな」
「こいつらは俺らがみぃぃっちりしごいておくからよ」
「つってもアレだな、帰すにしてもちょっと森が深い、一度俺らのところに来てもらうことになるが…」
言葉を濁す、こんなことがあった手前、にとって不安なことだろうと考えた。
だが、すぐに一人が声を上げる。
「あ、でも、俺達は長曾我部軍なんだ」
「あ、そうそう、でも違うぜ、戦をしに来ているわけじゃねぇから安心しろ」
「そうだ、アニキなら絶対親身になって聞いてくれるからよ!」
うんうんと全員が頷いた。
「あ、はい、大丈夫です。よろしくお願いします」
そして、は長曾我部軍が宿営している場所へと長曾我部親衛隊と共に向かった。
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