と三好三人衆、そして長曾我部軍一行は、徳川家康の城へとやってきた。
「なぁなぁ、どこに本多忠勝の発射口があると思う?」
長曾我部が三人衆に城を見上げて問いかける。
「正面にあるとは思えないな」
「ぐるっと一周してみるのはどうだ?」
「そうだな。見てから入りたいよなー」
「おっし、じゃあ見てから行くかっ」
弟の提案に長曾我部が乗り気になり、ずるずると城を一周することになりそうだとは声を上げる。
「私は、先に上がらせてもらってますから!」
大体、歩き通しで疲れている上に、精神的にも緊張して疲れているのだ。
別に今は発射口とかどうでもいいにとってそれは苦痛でしかない。
「っと、悪ぃ。そうだな…発射口は後でもいいか」
長曾我部がそう言うと、三人衆も一様に頷く。
「、悪かったな。疲れているのに」
「先に上がって休ませてもらおうな」
「大丈夫だ。一緒に行ってやるから」
弟がを気遣うように優しく頭を撫ぜる。
(…私は病人か)
とが思ってしまうほど、気を使わせているようだ。
「いや、あの、大丈夫だけど…」
(ちょっと休みたいだけだけど…なんだろう、とても嫌な気の使われ方…)
「まぁあんなことがあったんだ、疲れも溜まるだろ。おぉぉぉい家康ー開けてくれーぃ!」
「おぉ来たか!待ってたぞ」
長曾我部が門に向かって叫ぶと、中から元気な声が響いた。
本多の肩に乗って徳川達が出てきた。
「わしが、徳川家康よ、こっちがわしの部下の本多忠勝。おめぇがっていうのか?」
徳川は、軽く自己紹介をするとにっと笑ってを見つめた。
「あ、はい。家康公、この度は大変お世話になりまして…」
は、徳川が動いていたことを聞いていたので、礼を言おうとしたが途中で徳川に遮られた。
「礼を言うのはこちらの方よ。いや、詫びをさせてくれ、すまんかったな」
そう言うと徳川は、の手を取って続ける。
「怖い思いをわしの領内でさせちまった。今日は、できうる限りでもてなしてやるから何でも言えよ」
「ありがとうございます、家康公」
「…ところで、おめぇらさっきからなに忠勝で遊んでんだ?」
徳川とが話している間、三人衆と長曾我部は本多にべったりだった。
「い、いや、話が長くなるようでしたら本多殿をちょっと見たいなと」
「いやよう、やっぱ本物はいいよなぁ…って思ってよぅ、あーすまん」
「悪いとは思ったんだが」
「体が勝手に…」
言い訳をする四人に徳川はこれ見よがしに溜息を吐いた。
「はあ、全く。とりあえず奥に行くぞ」
そうして、徳川の後について奥に向かう。
三人衆と長曾我部は始終本多に視線をやり続け、途中で転びそうになったりした。
その度に、徳川が「いい加減にしねぇか!」と怒鳴っていた。
しかし、怒鳴られてもなかなか直らず、結局三人衆と長曾我部は本多が抱えて運んだ。
三人衆と長曾我部は、いい思い出ができたと凄く嬉しそうに語っていた。
徳川とは、顔を見合わせて溜息を吐いた。
「申し訳ありません、家康公」
「殿も苦労するな」
は最早苦笑いを浮かべるしかなかった。
後ろから聞こえる歓喜の声を聞きながら徳川とは一足先に奥座敷へと足を踏み入れた。
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