は肉体的な疲れと精神的な疲れも相まって、ぐっすりといつもより深く眠ることができた。
そのせいか、いつもよりも少しだけ早く起きてしまったようだ。
横を見ても三好兄も弟二人も寝ているように見える。
ごしごしと目元を擦って、もそもそと布団から這い出る。
緩んだ帯や襟元を正して、三人を起こさないようにそうっと部屋から出た。
けれどすぐに弟が追いかけてきた。
「おはよう」
「あれ、おはよう。今日は早いね、自分で起きたの?」
いつも最後まで寝ている弟が追いかけてきたからは驚いて言った。
「たまには自分で起きるさ、俺も」
弟は、目元を擦りながら欠伸をして、と一緒に井戸に向かう。
「そういえば、何のために佐助さんとこに寄るのかな。知ってる?」
そういえば聞いてなかったと弟を見上げて聞く。
「ん、ああ。信玄公がお前に会いたいそうだ」
詳しくは知らん俺も
弟は、昨日兄から聞いたことをそのままに伝えた。
本当に、兄もそれしかわからないと言っていた。
ただでさえ面倒事だというのに、あの馬鹿兄が更に面倒なことにして(正確にはもう一人の弟です)、しかも詳細は不明というこの不安定な件のことを考えて眠れるはずがない。
こちらには非戦闘員がいることをわかっているのだろうか。
しかも信玄公がを名指ししていること自体、大変なことだと言うのに。
ふぅと悩ましげに息を吐いて、弟はに目を向けた。
「…お?」
しかし、視線を向けた先は何もなく、が横にいなかった。
どこに行ったかと弟が振り向くと、随分と後ろの方でそのままの姿勢で固まっているがいた。
「し、信玄公…が、がが、わわわ、私、ななななんか、にに、な、なに、え、ありえな、嘘、え、」
そして小言でブツブツと呟いている声が聞こえた。
弟は、今度ははぁぁぁと大きく溜息を吐いて大股でのところまで歩いていく。
「何を今更…決まったことだ。それに了承しただろう、お前も」
「わ、私そんなつもりじゃ…佐助さんの家にお邪魔して真田様とかそういう人となんかあるのかと思って」
詰めが甘い。
そんなことで済ませられるなら兄があれほど険悪に対応してなどいないだろう。
弟はわしわしとの頭を撫でると視線を合わせる。
「大丈夫だ。何かあれば兄がどうにかする、兄が」
「…もう一人の弟もそう言ってたよ」
「まぁ兄だからな」
は、その同じ台詞になんだか肩の力が抜けてしまって、とりあえず笑みを浮かべ、それを見て弟も小さく頷いた。
「「どうにかなったら兄!」」
二人で声を揃えて言えば怖いことなど何もない気になって、と弟は元気になった。
その頃、部屋では
「へっくしょっ!…誰か噂をしているのか俺の」
兄がくしゃみをして、
「っ煩いぞ兄…折角いいところだったのに」
もう一人の弟がそのくしゃみで起きていた。
そして部屋に帰ってきた二人は、部屋にいた二人と交代して準備をする。
「…!お前一人で起きれたのか!」
「珍しいな」
兄と部屋にいた弟は、もう一人の弟が起きていたことに驚いた。
「失礼だな兄弟」
「兄弟ですらこの反応なんだ…」
言われた弟は憮然として兄弟を睨み、はちょっと呆れたように三人衆を見ていた。
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