「うまいか?」
「うん、美味しいよ」
「あ、お茶と団子おかわり」
「二つな」
茶屋に入った真田と猿飛が目にしたのは、まったりとお茶をすると、凄い勢いで食べている三好三人衆の姿だった。
「お、来たか」
弟が団子を飲み下して、真田と猿飛に声をかける。
「女将、代金はその忍にな」
「はいよ」
兄は、伝票を持ってきた女将に猿飛を指差して言う。
猿飛は女将から伝票を受け取って、その金額に驚愕した。
「え、えぇぇぇぇぇ!ちょっと、どれだけ食べたらこんな額になるのさっ」
あんまりの金額に叫ぶ。
っていうか、なんで俺様が…
お前がここを指定したのだろう?
「真田、お前も食え」
「おぉかたじけない」
さっきとは違う弟が真田に女将が持ってきた団子をそのまま差し出した。
猿飛が鋭く注意する。
「かたじけない、じゃないよ、旦那!何食べてんのっ」
真田は団子を口に含んで、よく噛んで嚥下すると、一言。
「無論、この代金は佐助、そなたが払うのだぞ」
そして真田はお茶を啜った。
「え、う、嘘だろーーーーーーーー!」
新しい武器とか、今度の休暇に何か買おうかなって思っ…!
猿飛は茫然自失となりかけたが、忍の忍耐でなんとか耐えた。
そして泣く泣く女将に自身の懐から小銭を出して支払った。
その場の猿飛以外の皆がお茶を一口飲んで落ち着いたところを見計らって猿飛が真田に四人を紹介する。
「真田の旦那、こちらがちゃんで、そこのが三好三人衆ですよ」
猿飛に言われ、うむ、と真田は四人に向く。
「某は、武田軍が将、真田源二郎幸村と申す。先の戦ではそなたらとは相対しはしなかったが、お館様の御配慮によりこの武田を通行することを許されたこと胆に銘じ、またこの度はお館様との誉れある面会を許されたとのこと、心して臨まれよ。ここからの道中はこの真田幸村が同行させていただく故、何事か生じたら何なりとこの幸村に申されるがよい」
は目を瞠った。
(凄い、なんか武将っぽい…だけど、口端に団子のたれがついてるのってどうなのよ)
残念なことに真田の口端には団子のたれが付着しており、それが全てを台無しにしていた。
「ちゃん」
猿飛に小声で呼ばれて、はっとは真田に挨拶をしなければならないと理解した。
「ご丁寧にありがとうございます。私は、松永久秀様の遠縁の者でと言います。武田様の御配慮痛み入ります、本当にありがとうございます。何分旅が初めてなもので粗相などするとは思いますが何卒よろしくお願い申し上げます」
立ち上がって真田に頭を下げる。
真田はその様子に目を見開いて、顔が一瞬赤くなり、口が何事かを言おうと開きかけたが、寸でのところで一文字に閉じられた。
は、礼をするとまた席に着いた。
その様子を見て今度は三人衆が口を開く。
「真田、口端に団子のたれがついてるぞ」
「ぬぉっしまった」
兄が冷静に指摘すると真田は慌てて口元を拭う。
「あーもー旦那。台無し、全てが台無しだよ。ちゃん、ごめんね」
「いえ、私は別に」
「わー旦那眼中にないって。可哀相ー」
「な、佐助、は、…なんでもないでござる」
真田が恐らくこれは破廉恥と言おうとしたのだろう、なんでもないと言った瞬間に猿飛は少し残念そうな顔をした。
「三好三人衆だ。世話になる」
「「以上」」
三人衆は兄が一言言って、弟達が声を揃えて結んで終わった。
(え、それでいいの?)
はなんだか緊張して損をしたと、こっそり息を吐き出した。
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