は、さあと血の気が引いていくのを感じた。

次の瞬間、は躊躇うことなく真田に頭を下げていた。

「その節は大変申し訳ございませんでした…!」

の行動にその場の全員(通りがかりの人含)が驚いてを見る。

はそれに気づくことなく言葉を続けてしまう。

「いくら帰り道にあったとは言え、門を破壊して挙句そのことを忘れてのうのうとお慈悲を頂いてしまって…私も今更ながら恐れております。どうかどうか平にご容赦くださりますよう…」

、あ、いや、殿…?そ、そのようにされる必要などないのでござるよ?」

真田は狼狽えた。

三好兄がの傍に寄って顔を上げさせる。

「あの場に確かに俺達はいたが、その件に関してはもう不問ということになっている」

「大体この戦国の世で壊し壊されは常だぞ」

「全くだ。しかも今更すぎるぞ」

兄の後に三好弟達も言う。

「あのね、ちゃん。そもそもそんなこと言い出したらキリがないでしょ、しかもそれならうちもこんな風に送ったりしないってば」

俺様も何回も偵察に行かせてもらってるし

「うむ。そのことに関しては某の不徳の致すところ。殿の責など何もありませぬぞ」

猿飛は呆れたように、真田は真摯に、言う。

それでようやくは胸を撫で下ろす。

「本当に、申し訳ありませんでした。あの時も、そう言いたかったのです」

焼け落ちた門を通り抜ける一瞬、真田と猿飛と目があった。

心の中でしか言えなかったが、今、ようやく言えたとつかえが取れたかのようには安堵した。

「大丈夫でござる。ちゃんと、わかっていたでござるよ」

真田はにこりと笑んで、言う。

猿飛は、真剣な顔で頷いていた。

「それに、殿が無事で何よりでござるよ」

「そうそう、ま、三好の旦那達は置いといて、ね」

猿飛の一言に、三人衆が声を上げる。

「猿飛のくせに」

「忍のくせに」

「人のこと言える立場ではないだろうに」

「えー、旦那達に言われたくなーい」

軽い調子で言う猿飛にも気持ちが軽くなっていく。

「それより、何ゆえ殿はあのようなところにいたのでござるか?」

以前より気になっていたのでござる、女子があのようなところにいてはいけないでござるよ

「ああ、それは…久秀様の口車に乗せられて」

思い出す苦い記憶。

アレ以来は、松永の誘いはよくよく考えて場所を聞いてから判断するようになった。

はあと溜息を一つ落として視線を上げると何やら静かな面々。

「…、それを言っては」

「色々と」

「終わりだ」

「そうだよ、ちゃん」

気持ちはわかるけどねぇ

微妙な顔で言う三人衆と猿飛。

真田だけは、真面目に、

「それは大変でござったなぁ」

と言ってくれた。

それらには、ただ愛想笑いを顔に貼り付けて返すことしかできなかった。

(本当に、大変でした…)

「あ、茶屋発見」

猿飛が手を翳して遠くを見て言う。

「ま、誠かっ佐助!」

ぱああと明るい笑顔で真田が猿飛に言う。

「ええ、あと…ってもういない」

猿飛が答える前に真田は駆け出していた。

「はや…」

の呟きには溜息ばかりが返ってきて、四人は急いで真田の後を追った。