六人の旅も大分慣れてきた今日この頃。
真田は甘味屋もしくは茶屋があれば必ず立ち止まる。
それがなければきっともっと速く進んでいただろうが、仕方のないことだ。
「殿、この団子はこのたれにつけて食べるのでござるよ」
「へぇ、変わってますけど…(もぐ、ごくん)美味しいですね」
「そうでござろう。某も初めてこの団子を知った時は誠驚いたでござる」
このようにご当地物の団子やら甘味やらを食べるのだ。
「…最近甘味ばかり食べている気がする」
「言うな」
「口が甘い」
「お茶いる?弟君」
三好三人衆や猿飛は最早顔色が悪い。
機械的に食べているようだ。
「そのように憂鬱な顔で食べれば美味しくなかろうに」
真田が団子をもう一つ口に入れながら横目で三人衆と猿飛を見て言った。
「真田が食べたければ真田だけ食べればいいだろう」
「何故我等の分も」
「頼むのだ」
「俺様の財布から出るのでいらない人の分は買いたくないんですがね」
それに三人衆と猿飛はキツイ視線を真田に送って口々に言った。
真田は口を尖らせて、すねたように言う。
「三好殿も遠路はるばるこの素晴らしい武田にいらっしゃったからには是非にも、と思ったのでござるが…」
「「「余計な心遣いだ」」」
「旦那の是非にもは多すぎるんですよ」
「うっ…し、しかし…殿は、美味しく食べてくださっているし…」
「はいいんだ」
「多少肥えても問題ない」
「ちょっと今聞き捨てならないこと聞こえた」
「そうそうはいい」
「ちょっとっ」
「ちゃんは女の子だからねぇ…甘味は別腹っていうし?」
「佐助さんまでっ」
の声を無視して三人衆と猿飛は真田に言う。
「だが、あまり甘味を食べ過ぎるのも問題なのでな」
「あ、兄まで…?」
「健康上の問題と猿飛の財布の問題で、だ」
三好兄までそういうこと言うとはと見上げれば違う違うと兄は言った。
三好兄の言葉に真田は一瞬思案顔をし、真面目な顔で頷いた。
「わかったでござる。なれば特にこれは!と思うものだけにするでござるよ」
「そうしてくれ」
「気持ちだけ受け取っておく」
三好弟達が心底安心した顔で頷いた。
恐らくこの場のほぼ全員がほっとしているだろうが、だけは微妙な面持ちで団子を口に入れた。
(なんだか私だけ損した気分…)
「お前さん達、こっから先に行くんならあっちの森を通る道を行かなきゃなんないよ」
女将さんがお茶のおかわりを持ってきた。
「誠でござるか?あちらの街道から行こうと思っていたのだが」
開けた、少し遠回りではあるが広い街道を通っていこうと考えていた。
「生憎だけど、あっちはこの前地割れがあってね。とてもじゃないが通れないんだ。うちら商売人も困っててねぇ」
「そうか。では仕方がないな」
「うむ。では早々に発つことにしよう」
「ごちそうさまでした」
「あいよ。道中気をつけて」
立ち上がり、茶屋を後にする。
これから行く道のことで心配そうに話す真田とと三好三人衆とは別に、猿飛だけは後ろから財布の中身を心配して歩いて行った。
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