は慌てて、けれど気づかれないように地面をざぁと探す。

アレが落ちていないかどうか、だけど、見当たらない。

(う、嘘でしょう…ない、ない、ない!)

もう一度、今度はゆっくり懐を探す。

だからと言って大っぴらにしたら真田がきっと叫ぶだろうから手を当てるだけで探る。

(やっぱりない…!)

?どうかしたか」

兄が怪しい動きをしているを覗き込む。

「…ないの」

いよいよの顔色は悪く、声は震える。

「どうした、何がない?」

「…政宗公に頂いた短刀が」

弟の問いに、意を決しては言う。

「政宗殿に貰った短刀?」

ちゃん、それどうして貰ったの?」

真田と猿飛がそれに激しく反応する。

視線は強く、先ほどの戦闘中のような空気を纏っている。

「簡単に言うと、先の戦で私、政宗公と勝負したのですが、その時に政宗公が私に差を埋める為と与えてくださったもので、元々政宗公がお持ちしていたものです。ですからいつか返さなければと思っているのです」

「政宗殿と勝負を?殿が?」

「旦那、やっぱりそこなんだ」

が猿飛の問いに答えればその空気は薄れて消える。

真田はいつもの雰囲気で首を傾げた。

「勝負とは言っても何もしてはいないのですが…政宗公はあの時安全な道を私に教えてくださいましたし、間に合うか否かというそれだけでしたから」

「政宗殿が…」

「へぇ竜の旦那がねぇ」

「あの独眼竜がなぁ」

「「へー」」

真田と猿飛と兄は感心したように言い、弟達は興味がないと生返事をした。

「ああでも、さっきまで確かにここに入れておいたのにないんです。ちょっと探してもいいでしょうか?」

「もちろん構わないでござる。手分けして探そうぞ」

「大丈夫すぐに見つかるよ」

「面倒だな」

「頑張って探せよ兄」

「お前等な」

弟達は最初からやる気がなく、だらだら探す。

「すみません、ありがとうございます」

がさがさと草を掻き分けながらは横にいる真田に言う。

殿がそのように気になさることではござらぬ。…それよりも、その、政宗殿との勝負はどちらが勝ったのでござるか?」

真田がさっきからそわそわしていたのは勝負の行方が気になっていたからのようだ。

「う、うーん、どうなんでしょう…結果として私は久秀様の許に辿り着けましたけど、政宗公はすでにその場にいらっしゃったわけですし…勝敗は政宗公にお聞きしないとわからないです」

しかし、は真田の求める答えは持ってはおらず、素直に自身の見解を述べた。

「そうでござるか…」

「申し訳御座いません」

「そ、そのように殿が謝られる必要はないでござる!どうか顔を上げてくだされ」

謝罪の言葉に真田は慌てた。

「ささ、急いで探すでござる!日が暮れる前にここを通り抜けましょうぞ」

「はい」

そうしてまた探し出した。

「あ」

弟が声を上げた。

「あったぞ、

弟が拾い上げたそれは確かに伊達が大仏殿炎上戦でに渡した短刀だった。

「よかったねぇちゃん」

「ありがとー弟ー!」

弟から受け取ってぎゅっとそれを確かめる。

「すまなかったな真田」

「大事な物でござろう。見つかってよかったでござるよ」

「これなら日の入り前に宿に行けそうだ」

兄と真田ともう一人の弟が大切に刀を懐にしまうを見ながら話していた。

森の出口まであと少しだ。