空は日本晴れ、籤は大安、本日は絶好の…
「彼奴らごときに栄光門はくぐらせん!それ、閉じるのじゃ!!」
北条の叫びが響き渡る小田原急襲戦日和?
「あの栄光門こそ、北条が要、栄光門…閉ざされては進撃もままなら…ゴンッ…ッ」
三好兄に後ろから頭を殴られた三好弟は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
もう一人の弟が背中をさすってやっている。
「さて、どうしたものか…」
「で、出直したほうがいいよ、兄」
塀の側の兵士達は見るからに臨戦態勢だ。
何百人の兵と三人の武将と一人の一般人、分が悪すぎる。
「しかしな…風魔を出すとなるとこういう状況のほうが出しやすいだろう?」
「その通りだ、兄弟。守ろうとして出てくるだろう、主を」
手に武器を持ち、臨戦態勢の兵達を流し見る弟達からは闘志が見える。
…いや、探す手間を省きたい気持ちが見え透いている。
「しかしな…こちらとしては闘う意思を見せたくはない、もいるし」
「ほ、本来の目的は風魔さんにお礼を言うことであって闘うことじゃないからね」
兄の言葉に便乗して弟達を留める。
それでも弟達は止まるつもりがないようだ。
「…そうは言ってもそうさせてはくれないだろうよ、あちらさんが」
「わかっているはずだ、兄」
血の気が多い弟はすぐにでも駆け出しそうだが、冷静な弟が静かに兄を見据えた。
「兄…」
は兄を見上げる。
兄は、き、と見据えてくる弟の視線を強く弾いたかと思うと額に手を当てて息を吐き出した。
「…、絶対に離れるな。俺から」
言われた言葉をはすぐに理解することができなかった。
「ごめん、兄、もう一回」
「…参戦するから俺の傍を離れるな」
もう一度兄が言ってはようやく理解というか現実にそれをするとわかった。
「ちょ、ま、待って、私手紙だって書いたし、だから今日じゃなくたって…!」
くしゃり
兄は、眉根を寄せ困った顔をしながらの頭をわしわしと撫でた。
「やるかぁ」
「ふ、仕方ない」
それを合図に弟達が戦場へと駆けて行った。
「ま、待ってっ…あ、に、」
前半は弟達に向かって、後半は、兄に手を取られて戸惑いからは声を上げた。
しかし、はそれ以上言葉を続けられなかった。
兄も駆け出したのだ。
の手を引く手とは反対の手に武器を持って。
「栄光門を閉じよ、早くしろぉ!!」
前線の武将が弟に殴られて吹っ飛びながら叫ぶ。
「どこにあるんだ?栄光門」
「閉じたらどうかなるのか?」
「閉じると風魔さんと闘わなきゃいけなくなるんだよ!あ、でも閉じないと風魔さんには会えないかも」
ただ広い城内で大勢の兵を相手にしつつ、首を傾げる弟達に思わずは言う。
「特別恩賞だったな、確か。門の閉鎖に間に合うか否かが」
兄が思い出したように言うと、弟達の目が光った気がした。
「一番乗り、俺ー!」
「待て兄弟、俺が先だ!」
「待て待てお前ら、の言葉聞いてたか!?いつもやる気ない癖にこういう時に限ってお前らは…うんたらかんたら」
相手にしていた兵をほったらかして我先にと走り出した弟達に、前半は注意を、後半は愚痴を兄は零した。
北条軍の兵達も兄の長い愚痴に嫌気がさしながら兄の相手をしていた。
「貴様、愚痴愚痴愚痴、と男であろう!みっともないぞ!」
「喧しい!俺の気持ちがわかってたまるか、貴様なんぞに!!」
「何ィ!?貴様こそ我輩の気持ちなどわかるまいぞ!!」
「なんだとぉ!」
何故か、嫌気がさし過ぎたのか、北条の兵達まで愚痴を言いだした。
(なんか、ちょっと平和…)
互いに切り結びながら口にする言葉が自身の苦労話というなんとも言えない感じには一瞬和んだ。
「この小田原城を落とせると思っているのか?」
「「思ってるーー!!」」
弟達は兵や武将達を蹴散らしながら栄光門に一直線に向かっているようだ。
いつも馬が用意してある場所に馬がいなかったから恐らく二人で馬に乗っているのだろう。
「栄光門ある限りわしは敗れん!ふしゃしゃ!」
「氏政様ぁーあまり無理すると…」
「ぎくぅ!ぁ、あ、こ、腰が…」
「「「言わんこっちゃない…」」」
小田原の天守での一幕が下にも聞こえ、兄は同情を禁じ得なかった。
「…大変そうだな、ここはここで」
「…言ってくれるな」
丁度その時、弟達が門を突破した。
「やったか…」
「鋭く素早く突破したな…」
「と、突破されちゃったーーーー!!」
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